わだつみの嫁取り
こんばんは。
今日は文善やよひさんです。
文善さんは人外のイメージが強めで、『ジェン』が有名かと思います。『ジェン』も読みましたが、私はこちらの『わだつみの嫁取り』がお話の広がりが深くて本当に大好きです。
人魚×おじさんです。
人魚と言ってもツノが生えていたり触手があったり、人間に化けられたり、ちょっと知ってる人魚とは違うところもあります。
悠久の時を生きる人魚。
シリアスなお話ですが、人魚の性格が人懐こくてあっけらかんとしているので、重すぎる雰囲気にはならないのがよかったです。
ちょっとポ◯ョを思い出す。
可愛いです。
触手はあるし人間ではないですが、人型だし、思考とかも人間とそう離れていない感じがしました。
ベースは八百比丘尼伝説です。
男が竜宮城から土産に持って帰った人魚の肉を、男の娘が知らずに食べてしまい、不老不死になるいうもの。結婚しても夫には先立たれ、知り合いもいなくなり、800歳で洞窟にこもったと言われています。まぁ諸説あるみたいですが、私の認識ではこんなところです。
『わだつみの嫁取り』では、人魚は人間を娶り、その相手も不老不死にして、自分は人に化けて一緒に生活するという世界観です。
受のキヨも、人魚に見染められて娶られ、不老不死になります。けれど、周りの人間がどんどん死んでいき、気味悪がられ、不老不死である事にずっと苦しみます。
そして、『不老不死を解きたい』と思うようになります。
読者も人間ですので、キヨに感情移入して、自分が不老不死になることを想像します。
私は絶対に嫌です。とてつもないお金持ちで何不自由なく暮らせるなら…と思いますが、それも100年くらいならっていうレベルの話です。千年も二千年も…とか考えだすと、絶対に死ぬ方法を探すようになると思います。
『わだつみの嫁取り』は2人が出会って数百年後のお話です。
不老不死を解きたいキヨと、不老不死である人魚が、どういう選択をするのか。どちらの行動も共感できて、久々にBLを読んで泣きました。
バッドエンドではありません。
読んでいると、あれ?どういうこと?というところが出て来るのですが、ちゃんと意味がありました。最後まで読むと全部ストンとはまって、なるほど、とすぐに2回目を読み返しました。それから読むとまた見え方が違って…。
本当に好きな一冊になりましたので、読んでみて欲しいです。
人魚の人型はあまり出てきませんがイケメンだし、
可愛い黒猫ちゃんも出てきます。
キャラクターたちも魅力的ですので、是非読んでみてください。
それでは、おやすみなさい。
雨がひどい地域にお住まいの方、ご注意くださいね。うちもなかなかです。早く晴れて欲しいものです。